人を好きに もっと好きになれるから 頑張らなくてもいいよ | こんな視点もいいじゃない。

人を好きに もっと好きになれるから 頑張らなくてもいいよ

2006.07.16(日)
天気:晴れと曇りがごちゃ混ぜ 一瞬雨

「数日前の天気予報では雨で、降水確率も70%で、もーどーしよーかなぁ。と思ってたんだけど
見事に晴れました!これも一重に、僕の日頃の“なんちゃら”が・・・、
いや、皆さんの日頃の“なんちゃら”が良い結果でしょう!」
そう言って、櫻井さんはくしゃくしゃの笑顔で笑った。


この一言と笑顔で、ap bank fes'06、2日目のActがスタートした。


去年、ミスチルファンの友達がこのフェスに参加した。
ミスチルライブへ行った次の日は、大抵が「サクライさんカッコイイ!」話に終始する彼女だが、このフェス後は違った。
「ほんとぉーに、感動した1日だった。」と目を輝かせた。
今までにはあまり例のない、「エコ」という目的を持ったフェス。
それだけに興味はすごくあった。
前例がないだけに、どうやって始めの一歩となる道を切り拓くんだろう?と。
その一部を、HPやDVDで触れることができた。
まず驚いたのが、ライブ会場にゴミが落ちていたり、残されていたりしていないということ。
そして、会場で出たゴミの分別の細かさと、参加者が全員、それをしっかり守っているということ。
人って十人十色。社会にも様々なルールがあって、それをしっかり守って生きている人がいる中、平気で守らない大人もいるのが悲しいかな現実。
だけどここではそれがないの?
みんなの心をこれほどまでひとつにできるもんなの?
と、エコへの目覚めと同時に、驚きと不思議さが残った。


そして、今年のフェス。
私はそれを自分の目で確かめるべく、朝の10時につま恋へ降り立った。


・・・なーんて大袈裟に書いてみました。
2日目に参加した理由はとってもシンプル。私の大好きなアーティストばっかり!
「はしゃぎ過ぎて倒れないようにしなくちゃ」と前の日からワクワクして眠れませんでした。
まさに、遠足前の子供とおんなじ。


掛川の駅へ降りてまず驚いたのが、つま恋行きのシャトルバスを待つ人達の長蛇の列!
「これに並ぶのかぁ~・・・」と思うとサクッと凹んだのですが、みんな気持ちは同じはず、と気を取り直し最後尾へ。
意外とバスの台数が多く回転率が早かったため、見た目の列の長さのインパクト程待つことなくつま恋へ到着。
かかった所要時間30分~45分といったところでしょうか?

つま恋のリゾートへ足を踏み入れるのはこれで2度目。
だけど、あまりにも広大で、どこまでも緑が綺麗な風景に、なんだか元気を貰った気になるから不思議。

まず一目散に向かったのは、フードエリア「koti」。
相方が仕入れてきた情報によると、ap bankが出資している九州の「えこふぁーむ」さんで育てられている黒豚の油の溶ける温度が、あのイベリコ豚と同じ19度で溶け出すのだとのこと。

その黒豚を使って作られたソーセージと、オーガニックビールを手に、まずは景気付けの一杯目の乾杯!
青空の下、そして芝生の上、程よい風の中でのビール!
黒豚ちゃんも本当においしくて、早速ここで幸せ全開な気分。
だが、もっともっと幸せな気持ちになれるライブエリアはまだ先だ。
ひとしきり、おいしさと、空と、芝生の感触を味わってからライブエリアへと向かう。


私達が手にしていたチケットは、C1とちょうど真ん中あたりの左端のブロック。
ブロックは全体がゆるーいスリ鉢状になっていて、真ん中は平坦だけど端っこは斜めに高くなっている。
前方はミスチルファンの若い人達にお譲りし、なるべく後ろ側の高くなっている部分でまったりと待機。
芝生に寝っ転がるっていう感覚が本当に懐かしい感じがして、気持ちよくて、しかもここの芝生はほんとに綺麗に手入れがされていて、直接ゴロゴロしても服が泥だらけにならない。
子供の頃に夢中で追いかけたバッタが時々飛び跳ねたりするのもご愛嬌。もう掴めないけどさ。


そうこうしてる間に、いよいよフェスがスタート!
オープニングは小林武史氏のピアノに櫻井さんがヴォーカルを載せる。
ステージ上には2人だけ。2万人以上のお客さんのパワーを一身に受け取る。
「大切なキミをもっとみんなに見せたいんだ。だってキミは、僕の自慢なんだから。」というとても優しい歌詞。
このウェルカムソングを披露する前に、2005年に初めてこのフェスを行ったことについて、櫻井さんは「周りのみんなから「会場にゴミひとつ落ちてないなんてすごいね!」って言われたんだ。これは僕らの力だけでは出来ない。 みんなが協力してくれたから出来たことです。みんなはほんとに自慢のお客さんです。」と言っていた。
なので、この曲を一人一人に歌いかけるときの顔がほんとに嬉しそうで、「あたしも今年、自慢のお客さんの仲間入りをしたいなぁ」と素直に思った。


バンドアクトの1組目はHY。
「羨ましいほどの若さを持った人達の登場です!」という櫻井さんの言葉で迎えられた彼ら。
HYのアクトの頃にまたフードエリアへ移動し、木陰で涼みながらランチタイムへ突入。
ここでもばっちり彼らの声やお客さんの盛り上がりが聴こえる。
すごくいい音でナイスなBGMを流し続けてくれていたTOWER RECORDSの出店も、ライブが始まると音を止めてくれて、ほんとにどこにいってもフェスが楽しめる空間が作られていた。
ランチも迷いに迷って、あたしは黒豚挽き肉と有機野菜のカレーとマンゴーのカキ氷に玄米茶をセレクト。
相方はあたしと同じカレーにプラスして、焼きたてのナンフランクとハイネケン、そしてビーフタコスと、ここぞとばかりに食べる食べる・・・。
でも、どのメニューを選んでもホントにおいしい。ハズレがない。これは嬉しい!
食べながらHYの音楽に身を任せていると、4曲目くらいに「はい、お邪魔しますよ」と櫻井さんが乱入。
お客さんもHYも嬉しそうにはしゃぐ。多分、櫻井さん自身もすっごい楽しいんだろうなぁ。


5曲程歌いきったHYが終わった後は一旦休憩。
その後、Bank Bandと各アーティストとの素晴らしいライブの時間がスタート。
まずはBank Bandが2曲歌った後、Great Artistのトップバッターとして呼ばれたのが、ap bankフェス皆勤賞(って去年と今年の2回の話だけど)のスキマスイッチが登場。
しかし!登場の直前に雷が鳴ったんです。
空も南の方から徐々に雲が黒くなっていって、「あれあれあれ?」と思っていた頃、スキマスイッチ登場と共に雨粒もポツリ。
1曲目『ボクノート』のDメロ、「空は泣き止んで雲が切れてく」の辺りでは皮肉なことに大雨!(笑)
歌い終わった後、Vo.の大橋君は「空は泣き止んで~って曲なんですけどねぇ」と苦笑い。
鍵盤の常田君も「ほんとすいません!すぐ終わりますんで。そしたら止むと思いますんで!」と平謝りで会場の笑いを誘う。
櫻井さんも「君らの日頃のなんちゃらはどうなってんの?」と笑顔で刺す。
2曲目『ガラナ』の途中くらいから雨も弱まってきて、3曲目、スキマと櫻井さんとでミスチルの『シーソーゲーム』を歌った頃には太陽も差し込む。
そしてスキマスイッチがステージから去ると、ほんとに雨が上がった!(笑)
しかもね、この後はずーっと良いお天気で、最高の「フェス日和」だったんだよ。
・・・こうしてスキマスイッチは「伝説の雨男」となりました。


スキマスイッチの後は、BENNIE Kがステージへ登場。
生のBENNIE Kにテンションが超上がる!
『Dreamland』と『Sky』を歌い終わった後、「さっきは雨なんて降っちゃって、Tシャツもイイ感じに濡れちゃったけど、次の曲でみんな乾かしちゃって!」とYUKIが叫ぶように声をあげた後に始まったのは『サンライズ』。
そりゃ、服も乾くっちゅーねん!
有り得ないほど跳ねて、2万人くらいで「AHAHA」をやって、あっという間にステージ上からBENNIE Kが去った後、櫻井さんがポツリと一言。
「引っ掻き回すだけ引っ掻き回して、去っていきましたね。」でも、雨が止んだ空の下、最高のショータイムでした。


「次はちょっとゆったり座って聴いて下さい。」という言葉に促され、みんなが座った頃に登場したのがSalyu。
「こんにちは!みんな元気!?私も1曲歌っていいかしら?」とくしゃくしゃな笑顔のSalyuは、もう、ひょいっとつまんでポケットに入れて、連れて帰っちゃいたいくらいかわいい。
彼女の笑顔と歌声は、会場の空気をガラリと替える。
最初はその小さなキャラクターと屈託の無い笑顔で、会場中をピースな空気で埋め尽くし、その後は歌声で、会場中の誰しもを圧倒する。あのほんわか笑顔からは想像もつかないほどパワフル。
またひとり、すごいアーティストを見つけた。


歌い終わってまたほんわか笑顔に戻ったSalyuの後に出てきたのは一青窈。
「sakusaku」では「ひととっち」ですっかりお馴染みな彼女も、これまた生で歌を聴くのは初めて。
あの、細い細い体で、消え入りそうな声で「こんにちは」と言った後に歌いだされたのが、すでに彼女のスタンダードナンバーとなりつつある『ハナミズキ』。
本っ気で感動した。暑くて汗だくなのに、腕や足には鳥肌。すごいよ、ひととっち!すごくかっこいい。
『ハナミズキ』の後、ひととっちはゆっくりと詩を読み出した。
「てんとう虫」という、彼女が作った詩。
 
「ひとつ、小さな嘘をつくことにした。
 世界があなたや私のためにあるのではなく、
 あなたや私が、世界のためにあるんだって。
 そう言ったら、あなたは笑ってくれるかしら?」
 
とても全ては憶えていないけれど、こんなふうな言葉の後、この詩をモチーフにした『てんとう虫』という歌が始まる。
彼女は去年もこのフェスに3日間レギュラーで出演し、それから自分なりにエコや自分に出来ることを勉強してきたと言っていた。
そして感じたことや発見したことを元に、今回この曲を書き、1年後のこのフェスでフィードバックした。
なんてスゴイ人、と思った。
ただゲストとして野外イベントに花を添えるだけではなく、このフェスの意味や意義を理解し、その上で自分から発信していくことの出来る人。
この人の声を、毎年、この場所で聴けたらいいな。
思わず、そう思った。


つま恋の空気をとってもピースフルに変えた、この二人の歌姫をコーラスに迎え、次はBank Bandのステージ。
冷静に考えると、この後登場する残されたゲストは、(GAKU-MCはレギュラーに近いので、彼を除くと)あと二人なんですよ!
そう、あの人とあの人のお二人。言わば「大ボス」と「中ボス」とでも言いましょうか・・・(笑)
もうあたしはドキドキ。顔はずっとニコニコな状況の中、櫻井さんが「次の素晴らしい方を紹介します!」と話始めた。

「最初のこの方の曲を聴いたのは、僕がまだ小学生の頃で、姉が好きだったので自然と耳に入ってきました。
初めてこの方の声を聴いたとき、僕は、女性が歌っているんだと思ってた。大大・大先輩です。小田和正さん!」
そしてステージ下手から手を振りながらラフなTシャツ姿で出てきた小田さん。
1曲目からいきなり『ラブ・ストーリーは突然に』。そしてここからはもう、小田さんの独壇場でした。
歌いながらステージを右へ左へ、挙句の果てにはステージを下りて、お客さんの間を掻き分けながら歌いまくる小田さん。
そして、ステージ上へ自力で上がれなくなり、スタッフに助けてもらうお茶目な小田さん(笑)。
櫻井さんは困ったような、でも嬉しそうな顔をしながら「・・・打ち合わせにないんだよなぁ」と笑う。
その後も立て続けに、『伝えたいことがあるんだ』『愛を止めないで』を歌い、曲の合間には何度も「どうもー!」「ありがとー!」を連発。
その後、鍵盤の前に腰を下ろした小田さんがユーモアたっぷりに話し始める。
「ほんとはね、僕もミスチルの歌を歌おうと思ったんだよね。でも彼ら(櫻井・小林)に反対された。」
するとすかさず櫻井さん、「だって、『愛を止めないで』をカットするって言うんだよ!?」とアナザーストーリーを披露する。
うーん、なんて贅沢な悩み。もうこうなったらいっそのこと、「愛を止めないで」もミスチルのカバーもどっちもやっちゃえばいいのに!
と思った矢先、小田さんが鍵盤でコードを押さえつつ、「とどまること知らなぁ~い」と、なんと『Tomorrow never knows』を歌い始めた!
もちろん会場中ビックリ!大きなどよめきが興る。
探り探りで歌い始めた小田さん、途中コードが分からなくなっちゃって苦笑いをしながらも2小節程度を歌い、「続きはまたいつか、機会があったら」とサプライズを終了。
会場中、「ええ~!」という声と「おおー!」という声が入り混じったような歓声と、そして拍手に包まれる。

この後、小田さんの鍵盤で『言葉にできない』が歌い出された。
去年、ステラボールで、ご本人の弾き語りで聴いたこの曲の感動が一気にぶわっと蘇えってくる。
最初は小田さんの鍵盤のみで、次第にストリングスも演奏に加わり、最後にはバンドでてっぺんまで駆け上るアレンジは、そしてやはり、この曲自体が持つ力と、何よりも小田さんの声のパワーとの重なりは、本当に言葉にできない程、素晴らしかった。


「何年も音楽を愛していないと出来ないようなステージでしたが、この後は、勢いだけでいきます!!」
そういって次にステージへ招かれたのは、GAKU-MC。
実は、Bank BandとGreat Artistのステージが始まる前の休憩時間に、フードエリアの間の道で、相方がGAKU-MCとすれ違っていたらしい。
「取り巻きはいたけどフツーに歩いてた。似てる人だなぁ、と思ったけど、ありゃ本人だ」と、ステージ上の本人を見て確信したらしい。
・・・あたしも一緒にいたはずなんですけどね(笑)まったく気付かなかった。背が高いと見える景色も違うんだろうなぁ、きっと。

GAKU-MC、両腕にSalyuとひととっちをはべらせて登場。まさに両手に華。櫻井さんも「はべらしてるなー」と笑う。
小田さんのステージで感動しきってた会場を、再び躍らせるかの如く煽るGAKU-MC。
そしてその流れのまま、『手を出すな!』へ傾れ込む。会場中、跳ねる跳ねる!超楽しい。
曲の合間にGAKU-MCが軽快に、だけどちょっと真剣に話し出す。
「W杯が終わった。サッカーでは手を出すな!だから頭突きをしてもいいということはない。なんにでもルールはある。ルール違反は絶対にしてはいけない。どっかの国にミサイルをぶち込む。これもルール違反。ルール違反は絶対にしてはいけない!」
個人的な意見も言わせてもらえば、音楽に政治を絡ませるべきではないと思っている。
音楽は誰にでも平等だ。平等に人を癒し、パワーを与え、そこから芽生える気持ちは自由なもの。一度世に放たれたら、聴取する受け手にすべてを委ねられるものだと思っている。
だからこそ、そこに、作り手の思想以外に、受け手の感情を操るようなことが盛り込まれることは好まない。
だから反戦歌の類はちょっと苦手だった。
『手を出すな!』 実はこの曲も、その要素が含まれている。サッカーのための曲、というだけではない。らしい。
とはいえ、それも、遠い遠い国のお話だったからこその感情なのかもしれない。
愚かなことに、今回のように、いざ、自分の国に対して危険が近づいてから、初めて気付くこともある。
これもあれだ。「分かってたつもりになってた」ってやつだ。
「音楽に政治を絡ませるべきではない」という気持ちは変わらないにしても、「ルール違反は絶対にしてはいけない」という言葉は、私の心に大きく響いた。


西日がとても綺麗に光る中、いよいよ最後のGreat Artistが登場する。
「次も素晴らしい大先輩を紹介します。すごいぞ!みんな、もってかれっぞ!!」とかなり興奮気味に櫻井さんに紹介されて出てきたのは、待ってましたのASKAさん!
どんだけ暑くても、イイ男はジャケットを忘れません!(笑) ホワイトのシャツタイプのジャケットをふわりと羽織ったASKAさんが、ステージ中央でしっかりと櫻井さんと握手を交わし、会場にひょいと片手を挙げる。
小林さんがゆったりと奏でる鍵盤から響いてきたのは『君が愛を語れ』。
「これから僕らは どうなっちゃうんだろう なんだか大事なこと 伝えられてきたけど」
この意味のあるフェスで歌われるこの曲の強さが、いつも以上に明確になって響いてくる。
ホントだよね。これから僕らはどうなっちゃうんだろう・・・。なんだか大事なこと、いろいろ考えないといけないんじゃないかな・・・。
どっしりとした鍵盤の音で1曲目が鳴り終わった後、ASKAさんはマイクの前で片手をひょいと挙げて「オイッス!」と挨拶をした。
いきなりの重厚なバラードに入り込んでいた会場の雰囲気が一気にふっと和らぐ。
斜め前にいたカップルの男の子が「この人、こんなキャラなんだ!」と笑った。なんだかちょっと嬉しい。
ASKAさんという人は、自分の発言が捻じ曲がって人に届くことをとても嫌う人であり、また、他の人にとっても気を遣う人であるため、(言葉は適切ではないかもしれないが、)こういうアウェイな場所ではなかなか地を出せないが、ホームだとまぁスゴイ!
「そろそろ歌った方がいいんじゃないすか?」と思うくらいしゃべりまくる。
なので、「この人、実はかなりおもろいキャラの人」っていうのは、ある意味、広く認知されているのだが、やはり一般的な“ASKA”というアーティストのイメージは、アレなんだろう。
目を閉じてバラードを歌いながらマイクスタンドに右手を添え、左手はポッケの中に突っ込んでるちょっと前屈み気味な格好の、あのイメージ。
だから、この男子のように、「お!この人、思ってたキャラと違うかも?」と感じた人がいたっていう事実は、あたしにとってはちょと嬉しかった。
 

2曲目は『はじまりはいつも雨』。ASKAさんがスキマスイッチの登場順じゃなくって良かったと一瞬思う(笑)
2コーラス目のAメロは櫻井さんがメインを執る。櫻井さんへ拍手を送りながらBメロ以降を受け取るASKAさん。
・・・なんかね、今まで思いもしなかったけれど、この二人、声質が似てる・・・?
お互いのハモリがほんとにぴったりに溶け合う。耳障りが異常に良かった。これは予想していなかったのでビックリ。
2曲目を歌い終わった後、「もっとこう、夕闇に似合う感じを想像して選曲しちゃったんだけど、まずかったかな?」と腰の低さを見せるASKAさん。
いやいやいや、とばかりに笑顔で首を振る櫻井さん。
夕闇どころか、夕暮れにやっと足並みが追いついてきたくらいの時間帯ですよ!と思っていたら、3曲目『晴天を誉めるなら夕暮れを待て』がスタート。
ぎゃあ!!ここでこうきますか!みたいにシッポ降る私(笑)。足も勝手に跳ねます。さっきの斜め前の男子もノリノリです。嬉しい!

最後の曲を歌う前に、ASKAさんが照れくさそうに口を開く。
「すごくみんなに伝えたい、って思ってることがあって、って言ったらちょっと照れるけど、ちょっと今、真剣に思っていることがあって、それを歌うんで聴いて下さい。」
ASKAさんがこのフェスのために最後に選んだ曲、それは『同じ時代(とき)を』という曲でした。
ap bank fesに参加した人で、ap bank fesのHPのGreat Artistsの中のASKAさんのコメント を読んだことのある人ならピンとくると思うこの詞。

「 いつの日か 君や僕を誰も知らない時が来る
 僕たちが昔の人たちを知らないように
 滴が落ちるような時間で 僕らは生まれ合った
 幸せだとか悲しみだとか分け合いながら
 同じときを歩いて行く僕たちさ
 物語をつないで行く僕たちさ 」

この詞の曲が、『同じ時代を』、この曲です。
今回のこのフェスのために創った曲ということではなく、もう何年も前に発表したソロアルバムの中の曲。
今回、このフェスの出演を櫻井さんから依頼されたときも、すぐにOKしたと言っていたASKAさん。
二人のアーティストが長年思っていた想いが重なり合った瞬間。それを目の前で見ることができて、本当に幸せだと思った。
後半のサビが繰り返される部分で、櫻井さんがみんなに話し掛ける。
「良かったら、皆さんも一緒に歌って下さい。」
そして櫻井さんが歌詞をリードする形で、「同じときを歩いていく」「物語をつないでいく」の部分が大合唱される。
形がありそうでなさそうな、言葉に出来そうで出来なそうな、いろんな感情がどんどん沸いてくる。
この曲をみんなで一緒に、それもファンな人もそうでない人もみんな一緒になって歌うなんて、まさか想像も出来なかったこと。
その想像も出来なかったことを、今、現実にしているということ。
こんなに素晴らしいアーティスト達と、まさに同じ時代に生きていることが出来て嬉しいということ。
そして、同じように感じているであろうたくさんの人達と、今日ここで同じ時を過ごしているということ。
空が青くて、緑が綺麗で、自分が健康体でここにいれるということ。
 
曲の内容に関係あるとかないとか関係なく、一緒にぐるぐる沸いてきて、もう、泣くかと思った。
 
「この曲のタイトルをみんなにお知らせします。『同じ時代を』という曲です。ASKAさんが、このフェスのために選んでくれた曲です。」
ASKAさんがステージを降りた後、穏やかな表情で櫻井さんが言う。
 
 
 
「さて、ここでサプライズ!」
櫻井さんのその声でステージへ現れたのは、なんとTシャツを着替えて再び登場の小田さんでした!
私の中で、ある意味、これですべての合点がいった。なぜ、ASKAさん(=中ボス)の前に小田さん(=大ボス)のアクトだったのか。
大ボスには、ちゃんと大ボスとしての仕事がまだまだあったんですね。
ここでBank Bandと共に歌われた曲は、『生まれ来る子供たちのために』。
櫻井さんの話では、以前からBank Bandでやられていた曲であり、今日、この曲を“本家”と一緒に歌うことをとても楽しみにしていたとのこと。
終わってから櫻井さんが一言ポツリと呟く。
 
「・・・幸せだぁ」
 
櫻井さん!私も、私も!
 
 
 
これで、Bank BandとGreat Artistsのステージは終了。
残すは、いよいよ、Mr.Childrenのみとなりました。
と、その前に、休憩時間ということもあり、早速再びフードエリアへダッシュ!
私はタイ風そうめんとデジカルビ串(これがほんとにウマイ!)、相方はナンチョリソー(このナンシリーズが大層気に入った様子)とアメリカン焼き鳥、そしてビール2本を手にライブエリアへ戻ってきたと同時にインターバルが終了し、Mr.Childrenのステージがスタート。
実はタイムスケジュールが結構遅れていて、ここで少しずつ時間調整されていたらしい。
ちょっとこの休憩時間の短さは予想外だったので、ミスチルのステージの序盤は、ゆっくりとゴハン食べながら楽しむことにしました。
場所が場所だけに普通の位置よりちょっと高かったこともあり、座っていてもスクリーンはばっちり見えるし、全く申し分ない状況でした。むしろ、夏フェスでこの平和さは有り得ないくらい。とても快適。
 
ミスチル。私はファンという立場ではないけれど、さすがはここまでトップなところを走り続けているバンドです。聴いたことのある曲がたくさん。
途中、『彩り』(字が合っているかどうかは不明)という新曲も披露。
(再度)私はファンという立場ではないけれど、新曲が聴けたのはちょっと嬉しかったし、ちょっぴり優越感。
素直に、いい曲でした。
 
ゴハンも食べ終わって、ビール片手に楽しんでいたところへ、自分的にとても聴き慣れたイントロが!
それは、あの『ストレンジカメレオン』。the pillowsのトリビュートアルバムへ参加した際に、ミスチルがカバーしたピロウズの曲。個人的に私も大好きな曲。
残りのビールを飲み干し、俄然、立ち上がる私!
その後の『箒星』の盛り上がりも凄い!そもそも、こんなに盛り上がれる曲だったとは!・・・ちょっと甘く見過ぎてたかもしれません。反省。
でも、そんなパワーを持つミスチルの曲達の中でも、この日いちばん心を打たれたのは、『Sign』でした。
本当に感動した。何が?とか、どこが?とか、どんなふうに?とかなく、ただただ「良い曲」で、敢えてそれっぽくかっこ良く言うならば、「楽曲の持つ力」に心から感動させられた。そんな感覚でした。
 
ミスチルのライブ本編が終わった後、桜井さんは嬉しそうに「みんな最高!ミスチルもっと最高!!」と叫んだ。
「“もっと”かよ!(^-^;」と心の中でちょっとツッコんだ私。
普通のライブだと、こういうとき、自分達よりもまずはお客さん、という精神の元、「みんなサイコー!」で終わるもの。
でも、これでいいんだと思った。桜井さんが「最高!」だと感じた私達オーディエンスを、その「最高」という状態にした人達、それがミスチルなのだから、「もっと最高!」で間違いない。
そしてそれは、お客さんの顔と歓声が何よりもの証拠だった。
 
 
 
たくさんのアンコールの拍手の後にステージに姿を現したのは、ミスチルだけではなく、今日のステージを創りあげた全てのアーティスト達だった。
そして全員で歌われた『to U』。
・・・ほんっと、この光景は、今でもビッチリと目に焼き付いているし、あの日のこの曲を思い出すだけでも鼻の奥んところがツーンとしてくる。
『Sign』の時も、「良い曲」って思ったけれど、これも「良い曲」としか言えない。ましてや、じゃあこの2曲のどちらがより「良い曲」なのか?と聞かれても、そんなん甲乙つけられるわけがない。
多分ね、この日、この場で、この曲を聴いた人達みぃんな、心のデトックスが出来たんじゃないかな、と勝手に思う。心の中にある黒い部分も綺麗にしてしまうような、そんな力を持っているってほんとに思えるくらい。そのくらい「良い曲」。
こんなにいろんな想いをもらえるとは思っていなくて、「ありがとう、ありがとう」って想いばかりが溢れてきた。
・・・帰りたくなかったなぁ。ずっとずっと、あの芝生の上で、みんなと過ごしていたかった。
 
 
 
 
これが、私が始めて触れたap bank fesです。
正直言ってしまえば、改善すべき点はもちろんあると思います。
でも、多分それは、どこも一緒。より良いものに近づけていくための次へのステップとなるもの。
このフェス、たとえ形が変わってしまったとしても、ずっとずーーっと続けていって欲しいなぁ。
櫻井さんやBank Bandがよぼよぼのおじいちゃんになっても、ずっと。
そしていつか、自分の子供がこのフェスに行った時には、「お母さんが行った頃はねー」なんて話をしたい。
・・・エコって多分、そのための入り口なんだろうな。自分の子供や自分の未来に繋がるものが、つま恋で目にしたような青い空とキラキラの緑の中にいられるということ。そのための入り口。
 
バイオエネルギーがどうとか、そういう話は正直ちょっと難しい感じがするけれど、今回このフェスで初めて目にした「リユースカップ 」は、全フェス、全ライブハウスで採用されてもいいと思った。
そういう、自分の近くから考えたい。
前はそんなの、めんどくさいって思ってました。でも多分、それが普通の感覚だよね、きっと。
それが、「めんどくさい」と思わなくなった。これだけでも自分の中では大きなことだと思います。
最高な1日!
この言葉に尽きます。
 
どうもありがとう。